03.03
高島市イチゴ補助金問題 判決確定後も未回収 約4.76億円に
滋賀県高島市が市内農業会社に支払ったイチゴ輸出向け栽培施設整備補助金約3億7千万円が、施設未整備のまま返還されていません。2022年6月の概算払いから4年近くが経過し、裁判で全額返還命令が2025年9月に確定したにもかかわらず、回収は進んでいません。現在、遅延金を含め約4億7600万円に膨らんでいます。市は資産調査や刑事告訴を検討する一方、市民による住民訴訟も大津地裁で進行中です。この税金の行方をめぐる問題の最新状況を、高島市の地域事情を踏まえて整理します。
### 新旭町藁園の計画地 輸出イチゴ施設が未整備のまま
事業の舞台となったのは高島市新旭町藁園です。2021年1月に設立された農業会社「風車」が、輸出向けイチゴ栽培施設3棟の整備を計画。国からの補助金を申請し、交付決定を受けました。市は会社側の要請に応じ、国の交付前に3億7375万円を概算払いする形で資金を提供しました。これは事実上の「肩代わり」でした。
しかし、期間内に施設は整備されず、国補助金は取り消しとなりました。請負会社とのトラブルが原因で、会社側は「総額10億円以上を支払ったが、現場放棄され資材代金まで持ち去られた」と主張。会社側は請負会社を相手に別途訴訟を起こし、勝訴しています。計画地は現在も空き地のままです。
### 返還訴訟の経過 地裁・高裁で市側勝訴も支払いなし
市は2023年5月に返還命令書を発出し、同年9月に大津地裁へ提訴。2025年2月、地裁は会社側に全額返還を命じる判決を出しました。会社側は控訴しましたが、大阪高裁は同年9月に控訴を棄却。判決は確定しました。
それでも支払いはなく、遅延金が日々増加しています。2025年11月25日時点で約4億7600万円、1日あたり約11万2千円のペースで膨らんでいます。市役所の目と鼻の先にあるアパートの一室が会社本店所在地ですが、人の気配はなく、郵便物がたまっている状態です。
### 市長の対応 プロジェクトチーム設置と刑事告訴の検討
今城克啓市長は2025年2月に就任後、原因究明のためのプロジェクトチームを庁内に立ち上げました。2025年度からは顧問弁護士を2人に増員。会社側の資産状況調査を進め、債権回収の可能性を探るとともに、刑事告訴に向けた情報収集を進めています。
市長は昨年11月の記者会見で「情報収集にも時間がかかり、単純な事案ではなく複雑なので、時間がかかっている」と説明しました。高島市は琵琶湖の恵みと里山の伝統を活かした農業振興を推進する中で、こうした大規模補助事業に取り組んできました。しかし、事前チェックの不十分さが今回の事態を招いた点は否めません。
### 住民訴訟の進行 行政の概算払い責任を問う
一方、市民側も動きを止めていません。2023年9月、市民が今城市長を相手に住民訴訟を提起。「概算払いは違法」と主張し、同額分の返還を求めています。審理は大津地裁で続いています。原告の一人、泉勝男さんは「二度と市民の税金が不当に支払われることがないようにしてほしい」と述べています。
また、市民団体「いちご農園補助金問題の解明を求める市民の会」は、市に対し補助金の回収、真相究明、再発防止策の策定を求めています。高島市の補助金交付規則の運用が問われる中、行政の透明性向上が求められています。
– 2022年6月 3億7375万円の概算払い実施
– 2023年5月 返還命令書発出、9月提訴と住民訴訟提起
– 2025年2月 大津地裁で全額返還命令、プロジェクトチーム設置
– 2025年9月 大阪高裁で判決確定
– 2025年11月時点 遅延金込約4.76億円、刑事告訴・資産調査検討中
高島市では今後、刑事告訴の可否や住民訴訟の結論が焦点となります。全国的に注目された税金の適正執行問題として、回収に向けた具体的な進展が待たれます。里山と琵琶湖の恵みを活かした地域づくりの中で、再発防止が鍵となるでしょう。
**参考文献**
– 朝日新聞デジタル「3億7千万円の行方は どうなった?高島市のイチゴ補助金問題 滋賀」(2026年2月27日)
– 高島市議会だより・所信表明(令和7年3月定例会)
– 市民団体「いちご農園補助金問題の解明を求める市民の会」公式サイト
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