萩乃露「芳弥X」例年6月中旬蔵出しの生酛新酒 瑞々しさを生む3つの工夫

新旭町, 特産品

高島市新旭町の蔵元・萩乃露の蔵内をイメージした、横長のクラフト酒瓶と切子グラスの編集ビジュアル。背景に木桶仕込の蔵を配置し、和の灯りで温かく演出した構図
萩乃露「芳弥X(よしや エックス)」のイメージ。蔵元の佇まいに寄せた横長ビジュアル(※画像は生成AIにより作成されたイメージです)。 出典:生成AIイメージ ※著作権は原権利者に帰属。二次利用は各規約に従ってください。

近江高島の地酒として知られる 萩乃露(株式会社福井弥平商店、滋賀県高島市)の意欲作 「生酛仕込 特別純米 芳弥X(よしや エックス)」 は、蔵が誇る定番熟成酒「芳弥」の 新酒段階の魅力 を、現代の醸造管理で前面に引き出した一本だ。例年6月中旬に 数量限定・完全予約制 で蔵出しされ、すぐに完売してきた人気品で、2026年版の発売時期もそう遠くない。

本稿では、公式サイトに残る2025年版の発表内容([https://www.haginotsuyu.co.jp/archives/3771](https://www.haginotsuyu.co.jp/archives/3771)、[https://www.haginotsuyu.co.jp/archives/3763](https://www.haginotsuyu.co.jp/archives/3763))をもとに、芳弥Xがどんな一本なのか、何が新酒なのに「火入れ」を成立させているのかを整理する。2026年版の正式な予約締切日・蔵出し日・価格・取り扱い店舗 は、萩乃露公式サイトのお知らせ欄、または2026年4月に開設された 萩乃露 公式LINE で最終確認することを強くおすすめしたい。

萩乃露公式サイト(haginotsuyu.co.jp)のトップページ。創業1751年のロゴ、近江高島の棚田風景の背景、新着情報の一覧が見える
萩乃露公式サイト([https://www.haginotsuyu.co.jp/](https://www.haginotsuyu.co.jp/))のトップ。芳弥Xを含む限定酒の最新告知は、ここの「新着情報」と公式LINE で発信される(2026年5月8日取得)。 [公式サイトのスクリーンショット] 出典:[萩乃露 公式サイト](https://www.haginotsuyu.co.jp/) ※著作権は原権利者に帰属。二次利用は各規約に従ってください。

「芳弥」と「芳弥X」——熟成と新酒、対をなす2本

蔵元定番の 「芳弥」 は、3〜5年の蔵内熟成を経て円熟する特別純米酒。落ち着いた酸とまろやかな飲み口で、燗酒コンテストでの受賞歴を持つ国内外で評価される銘柄だ。

これに対する 「芳弥X」 は、その「芳弥」の 新酒段階 にもう一押しの工夫を重ねたシリーズで、伝統の生酛仕込ならではの上品な酸と奥行きある飲み口に、火入れ酒なのに搾りたてのようなみずみずしさを併せ持つ仕上がりが特徴だ。蔵元のコンセプト文によれば、「発酵で生まれたガス感による清涼感ダイレクトに感じる原料由来の優しい旨みお料理を引き立てるシャープな切れ味」の3つを軸に据えた 未踏の旨さ を狙う一本という位置づけにある。

「熟成の芳弥」と「新酒の芳弥X」を 同じ食卓に並べて飲み比べる という体験設計が、芳弥シリーズの面白さを最大化する仕掛けになっている。

瑞々しさを生む3つの技術的ポイント(2025年版発表より)

公式の解説ページ([archives/3763](https://www.haginotsuyu.co.jp/archives/3763))で語られている芳弥Xの「旨さの正体」は、原料米仕込/発酵/搾り瓶詰/貯蔵 の3工程に整理されている。要点を順番に追っていく。

① 原料米——地元活性化に取り組む若手農家の山田錦100%

原料米は 滋賀県長浜市西浅井町産の山田錦を100%使用。米作りで地元の活性化に取り組む若手兼業農家グループ「RICE IS COMEDY®」が栽培した山田錦で、米の上質さがそのまま味の輪郭になっている。

精米では、お米を無駄なく使えると同時に雑味を除去できる「扁平精米」 を採用。精米歩合は60%だが、扁平精米によって 大吟醸クラスにも匹敵する上質な味わい を引き出している。「特別純米」と名乗りながら、口当たりに大吟醸的な澄んだ表情があるのは、この米と精米の組み合わせが大きい。

② 仕込・発酵・搾り——発泡感を残す醪管理と無加圧の選別

「搾りたてのような鮮度」を実現するために、芳弥Xは発酵時の 発泡感(ピチピチとしたガス感) を意識的に残す 醪(もろみ)管理 を徹底している。発酵で生まれた炭酸ガスを丁寧に酒に閉じ込めることが、開栓時の清涼感の正体だ。

搾りも工夫されており、無加圧部分の雑味のない良いところだけを厳選。圧力をかけずに自然落下する部分(あらばしり〜中汲み)の旨味を中心に集めるため、口当たりが軽やかでキレが良い仕上がりになる。さらに 貯蔵では氷温管理 を徹底し、出荷直前まで搾りたての鮮度をキープしている。

木桶と陶器の甕(かめ)が並ぶ伝統的な日本酒蔵の内部、生酛仕込みを思わせる静謐な風景。柔らかい朝の光が高い窓から差し込んでいる
生酛仕込みの蔵内をイメージした編集ビジュアル。芳弥Xは伝統の生酛を礎に、最新技術を重ねた一本(※画像は生成AIにより作成されたイメージです)。 出典:生成AIイメージ ※著作権は原権利者に帰属。二次利用は各規約に従ってください。

③ 瓶詰・貯蔵——純米大吟醸と同じ「先打栓 → 火入れ」

芳弥Xの最大の特徴のひとつが、瓶詰の手順だ。通常は純米大吟醸クラスの上位酒にしか採用されない「先に打栓してから火入れする方式」 を取り、瓶のなかでお酒本来の風味をしっかり守っている。これにより、開栓した瞬間からフレッシュで豊かな香りを楽しめる。

火入れ酒でありながら、新酒のような揮発感とガス感を残せるのは、密栓状態で熱を加えてすぐ冷やす という大吟醸クラスの作法が、特別純米のラインで採用されているからだ。「火入れなのに、搾りたてのような風味」という蔵元の表現は、誇張ではなくこの工程設計から来ている。

飲み比べの楽しみ——熟成の「芳弥」と新酒の「芳弥X」

公式は、芳弥Xを 熟成済みの「芳弥」シリーズと並べて飲む 楽しみ方を一貫してすすめている。2025年版の蔵出し時には、熟成の「芳弥2021」(4年程度熟成)との飲み比べが提案されていた。

比較軸芳弥X(新酒・火入れ)芳弥(熟成・例:芳弥2021)
印象透明感・果実味・軽快なガス感まろやかさ・深み・落ち着いた酸味
温度帯冷酒〜常温で本領常温〜ぬる燗・燗酒で広がる
食事の相性シーフード、柑橘の効いた前菜、軽い揚げ物煮物、脂の乗った肉料理、出汁の効いた和食
味の表情開栓直後がいちばんガス感が出る時間とともに香りがほどける

※ 表は2025年版の公式解説([archives/3763](https://www.haginotsuyu.co.jp/archives/3763))と一般的な日本酒の温度帯のセオリーを編集部で整理。2026年版で熟成側の組み合わせ年が変わる可能性がある点は留意。

同じ生酛特別純米でも、新酒期と熟成後ではこれほど表情が変わる ということを、ひと晩のうちに体感できる。日本酒を「特別な日」だけでなく日々の食卓に取り入れている人にとっては、芳弥シリーズの飲み比べは、自宅の和食レパートリーをひと回り広げる仕掛けになる。

黒いスレート皿の上に並ぶ2脚のグラス。左は微発泡を帯びた爽やかな冷酒と柑橘で和えた魚の小皿、右はやや琥珀がかった常温の熟成酒と煮物の小鉢が添えられた、和の飲み比べビジュアル
「芳弥X(左・新酒)」と「熟成の芳弥(右)」をペアリングと合わせて飲み比べるイメージ(※画像は生成AIにより作成されたイメージです)。 出典:生成AIイメージ ※著作権は原権利者に帰属。二次利用は各規約に従ってください。

数量限定・完全予約制——例年のスケジュールと2026年版の確認方法

芳弥Xは 毎年、数量限定の完全予約制 で蔵出しされてきた。直近の公式アナウンスである2025年版は、次のような告知だった。

項目2025年版(公式アーカイブより)
予約締切**令和7年(2025年)5月26日(月)**
蔵出し日**令和7年(2025年)6月13日(金)**
アイテム1.8L ¥3,795 / 720ml ¥2,090(いずれも税込)
原料米・精米滋賀県長浜市西浅井町産 山田錦100% / 精米歩合60%
アルコール度数18度

※ 出典:萩乃露公式「萩乃露の意欲作『生酛仕込 特別純米芳弥X』ご予約承り中!」([https://www.haginotsuyu.co.jp/archives/3771](https://www.haginotsuyu.co.jp/archives/3771)、投稿日 2025年5月16日)。

この告知から類推すれば、2026年版も 5月下旬に予約締切、6月中旬に蔵出し という従来のリズムが続く可能性が高い。実際、2025年版の文言にも「昨年の芳弥Xはご好評をいただき、早々に完売してしまいました」とあり、気になる方は予約開始を待たずに、公式の最新告知を継続してチェックしておく のが現実的だ。

公式情報の確認チャネル(おすすめ順)

1. 萩乃露公式サイトの「新着情報」:[https://www.haginotsuyu.co.jp/](https://www.haginotsuyu.co.jp/) のトップに、限定酒の予約案内が随時掲載される。 2. 萩乃露 公式LINE:2026年4月に開設された新チャネル([案内ページ](https://www.haginotsuyu.co.jp/archives/4137))。LINEで旬の限定酒やイベント案内を、いち早く確実に届ける という運用方針が公式に示されている。芳弥Xのような数量限定品では、ここでの早めの一報がいちばん速いはず。 3. 公式オンラインストア:[https://haginotsuyu.shop/](https://haginotsuyu.shop/)。蔵出し開始後の在庫状況も、ここでの確認が正確。

高島の食卓に置く一本として

「芳弥X」は、伝統の生酛仕込を守りながら、扁平精米・無加圧の選別・先打栓火入れ・氷温貯蔵といった現代の技術を、ためらいなく重ねていく という、いまの高島の地酒づくりを象徴する一本だ。地元・高島市新旭町太田の蔵元 株式会社福井弥平商店([https://www.haginotsuyu.co.jp/](https://www.haginotsuyu.co.jp/)、創業1751年・寛延年間)が、米の出どころから瓶のなかの空気まで設計し直した、新酒の限定品である。

シーフードや柑橘の効いた前菜にはガス感のある冷えた芳弥Xを、煮物や脂の乗った肉料理にはぬる燗の熟成芳弥を——というふうに、温度帯と料理を変えながら 「同じ酒の時間軸」 を一晩で行き来できる。日本酒を日常に取り入れている人にとっては、年に一度の楽しみのひとつになり得るシリーズだ。2026年版の正式な蔵出し日・予約締切日が公開され次第、本記事も改定して追記する予定 だが、いち早く知りたい方は、まず萩乃露公式LINE の登録から始めるのがいちばん確実な動き方になる。