高島市が育む「関係人口」の形—高島縁人(たかしまえんじん)とは

社会, 経済・ビジネス

2026年6月時点で、滋賀県高島市は「観光客でも移住者でもない第三の関わり方」を軸にした関係人口づくりを続けています。その中心が高島縁人(たかしまえんじん)です。市にゆかりや関心を持つ人を「縁人」と呼び、愉しみから生まれるつながりで地域の活力を高める—そんなプロジェクトとして、総合戦略課をはじめとする市の体制で推進されています。

とにかく気になるのは、義務付けではなく「気になる」「知りたい」という好奇心を入口にしている点です。2026年1月にはオンラインのトーク&交流会が開催され、noteや公式LINEでの継続発信も続いています。僕は、関係人口という言葉が政策用語に見えがちななか、現場ではかなり柔らかい設計になっていると感じました。

画像
高島縁人公式サイトのトップビジュアル。琵琶湖西岸の自然と、縁人同士の交流を想起させるデザイン。 [公式公開情報] 出典:高島縁人公式サイト ※著作権は原権利者に帰属します。出典表示は許諾に代わるものではありません。掲載に関するご指摘がございましたら、お問い合わせいただければ確認のうえ削除・訂正に対応します。

高島縁人誕生の背景と、市が示す定義

高島市は琵琶湖の北西に位置し、白鬚神社やメタセコイア並木、発酵食品や高島ちぢみなどの特産品で知られる地域です。一方で人口減少と高齢化は全国と同型の課題として残り、単発の観光消費や移住促進だけでは、何度も訪れたくなる関係を築きにくい—そんな文脈のなかで高島縁人が立ち上がりました。

高島縁人公式サイトによると、縁人とは「高島市に『縁』や『関心』を持ち、何かしらの関わりを持っている方」の総称です。市外在住でも構いません。イベント参加、農業体験、特産品の購入、オンライン交流など、関わり方は個人のペースに委ねられています。市はこれを関係人口拡大の具体策として位置づけ、高島市役所総合戦略課が中心となって推進しています。

編集としては、従来の関係人口施策が「参加してもらう」ことに重きを置きがちなのに対し、高島縁人は「一緒に愉しむ」関係性を前面に出している点が独自性だと読みます。僕自身は、移住を勧めるより先に「また来たい」と思わせる設計の方が、長期的には効く場面が多い、と感じます。義務感や貢献意識を先に要求するのではなく、個人の好奇心から自然に深まるご縁—その持続可能性が、長期的な関係人口づくりの鍵になりうる、という見方もできます。

現場の活動—こども記者クラブからサポート団体ネットワークまで

高島縁人の活動は、市内在住者向けのプログラムと、市外から関心を持つ人向けの発信が並走する形です。

こども記者クラブ—子どもたちの視点で高島を再発見

2024年の夏休みから始まったこども記者クラブは、市内在住の小学3〜6年生を対象に、地域の人や活動を取材し、子ども新聞を制作するプログラムです。高島縁人 noteによると、初年度は子どもたちと取材先を決め、編集会議を経て完成した新聞を市民活動フェスタで公開しました。

令和7年度(2025年)の活動報告では、7月のオリエンテーションから南深清水オリーブ園、くつきの森、在原分校(いなか暮らしラボ古今集)などへの取材、8月の編集会議、市民活動フェスタでの発表まで、5日間のプログラムが実施されたとされています。担当課の説明では、子どもたちが「住んでいても知らない高島」に触れる場として位置づけられています。

画像
令和7年度こども記者クラブの活動風景(高島縁人 note掲載)。子どもたちが取材先を訪れ、こども新聞づくりに取り組む様子。 [報道機関の公開記事に基づく引用] 出典:高島縁人 note公式 ※著作権は原権利者に帰属します。出典表示は許諾に代わるものではありません。掲載に関するご指摘がございましたら、お問い合わせいただければ確認のうえ削除・訂正に対応します。

オンライン交流と、20以上のサポート団体

市外から関わる入口としては、オンラインのトーク&交流会が例として挙げられます。2026年1月24日に開催された「冬のオンライン高島 トーク&交流会」は、NPO法人コミュニティねっとわーく高島が運営し、申し込み不要・出入り自由の形式で実施されました。note上的報告では、ゲストの視点から高島との関係や活動を知る機会になったとされ、次回は2026年9月開催予定と案内されています。

現地での体験につながるのが、サポート団体との協働です。公式サイトでは、マキノ自然観察倶楽部、結いの里 椋川、みなくちファーム、南深清水FF倶楽部など20以上の団体が参加し、オリーブ栽培、米作り、森林整備、ワークショップなど多様な体験が可能と紹介されています。1日限りの交流から、企画運営への継続参加、年に1回のイベント参加まで、関わり方の多層化を意図した設計と読めます。

画像
高島縁人が紹介するサポート団体・活動のビジュアル(公式サイト掲載)。 [公式公開情報] 出典:高島縁人公式サイト ※著作権は原権利者に帰属します。出典表示は許諾に代わるものではありません。掲載に関するご指摘がございましたら、お問い合わせいただければ確認のうえ削除・訂正に対応します。

情報発信—note、LINE、ご縁つなぎ帳

活動報告は高島縁人 noteで、スポットや団体を網羅したガイドも提供されています。現場では、SNSやアプリを日常使いする層に向け、継続的な接点をデジタル側に置いている、という見方もできます。

「engine」という名前が示す—外部の「縁」が地域の燃料になる構造

高島縁人の英語表記「engine」には、地域の活力(エンジン)を外部の「縁人」が燃料として供給する—そんなイメージが込められていると、公式の説明やnote上の文脈から読み取れます。

僕は最初、単発のイベント集客プロジェクトかと思っていました。出典を当たると、地元団体の代表者へのインタビュー(谷口良一さん、是永宙さんら)を通じて、外部者が「自分ごと」として関われるストーリーを積み上げている点が効いている、と感じました。観光消費を超えた共創が起きやすい構造—京都や大津での交流イベント、オンライン参加(台湾からの参加者も報告されている)など、固定ファン層の形成が進んでいる、という報告もnote上に残っています。

編集としては、これは意図的に「高島のファンエコシステム」を設計している取り組みに近い、と読む向きもあります。ただし、数値目標や登録者数の公表は限定的なので、効果測定の詳細は今後の公式更新待ち、という整理が必要です。

関係人口政策の「中間層」を狙う設計—観光と移住のあいだ

国や自治体が語る関係人口は、移住・二地域居住・リピーターなど多様な類型に分かれます。高島縁人の設計が際立つのは、観光客でも移住者でもない中間層を明示的に歓迎している点です。

関わり方の例想定される関係の深さ
—-—-
公式LINEでイベント情報を受け取る軽い関心・情報接点
年1回のオンライン交流会に参加中程度の継続関心
サポート団体の体験・ボランティア現地との具体的なご縁
こども記者クラブ等の企画運営協力地域発信への共創

意外と、ここで重要なのは「縁人」というラベルの柔軟さです。僕は、登録者数より「どれだけの人が二度目の行動を取ったか」の方が、この種のプロジェクトでは実態に近い、とも思います。公式定義は広く、市は特定の登録要件を厳格に設けていません。結果として、特産品を買っただけの人も、毎年イベントに来る人も、同じ「縁人」という枠のなかで語られる—この包括性が、関係人口の母数を実感として広げやすい、という読み方ができます。

一方で、持続可能性の観点では、NPOやサポート団体の負荷、市の予算と人的リソースとのバランスが今後の論点になります。2026年9月予定の次回ハイブリッドイベントや、こども記者クラブの継続募集が、実際にどれだけ市外からの関心を引き続けるか—ここが観測ポイントです。

画像
高島縁人が案内する地域の風景・活動イメージ(公式サイト掲載)。 [公式公開情報] 出典:高島縁人公式サイト ※著作権は原権利者に帰属します。出典表示は許諾に代わるものではありません。掲載に関するご指摘がございましたら、お問い合わせいただければ確認のうえ削除・訂正に対応します。

参加するための具体的なアクション

関心を一歩進めるなら、次の順が現実的です。

1. 高島縁人公式サイトで最新イベントと活動団体を確認する。 2. 公式LINEに登録し、イベント情報を受け取る(サイトから登録導線あり)。 3. 「たかしまご縁つなぎ帳」をPDFでダウンロードし、スポット・団体を把握する。 4. 興味のあるサポート団体のページから直接問い合わせる(自然観察、農業、資料館など)。 5. こども記者クラブなど季節イベントの募集に応募する(市内在住の家族向け)。

交通面では、京都駅から近江今津駅まで新快速で約48分、大阪から約75分と、日帰り圏内です。まあ、最初はオンライン交流会から「顔と名前」を知るだけでも、関係人口としての第一歩には足りるでしょう。

高島縁人は、地方が抱えるつながりの希薄化に対する一つの実践的回答です。愉しみを起点に、観光でも移住でもない関係を積み上げる—その設計が、2026年もオンラインと現地のハイブリッドで試され続けています。次に動きが出そうなのは、9月予定の交流会と、こども記者クラブの新年度募集あたりでしょう。