医療的ケアが必要な子に第2の家を 看護師と医師が施設開業へ:朝日新聞デジタル:

人工呼吸器やたんの吸引など医療的ケアを必要とする子どもが過ごせる施設の建設が滋賀県高島市で進んでいる。長年、医療的ケア児の訪問看護に携わってきた看護師が、子どもたちへの「恩返し」として実現をめざした。

12月に着工した医療型特定短期入所施設「たまのおうち」。呼吸器内科「けいこピュアクリニック」(高島市今津町浜分)の敷地内にできる。建物の窓からは琵琶湖の「パワースポット」として有名な竹生島(ちくぶしま)が見られる。

看護師の中司秀美さん(60)は、たまのおうちについて「たまには違う家、竹生島が見える景色の良い別荘のような第2の場所になれるように」と願う。訪問看護師として約15年間、高島市で医療的ケア児に携わってきた。

中司さんによると、放課後や学校の長期休暇中に子どもを預けられる一時休息(レスパイト)の施設が高島市にはないという。「家族は体調が悪くても、24時間一息もつけない。手をさしのべられる場所になりたい」と話す。

中司さんは2017年に55歳だった夫を急性心筋梗塞(こうそく)で亡くした。「看護師を辞めようと思ったが、子どもたちの表情や目に救われて続けてこられた。今度は私が恩返ししたい」

短期入所施設を作るには保育士ら有資格者を確保しなければならないが、医師と看護師がいれば条件が整うという。友人だったクリニックの院長で医師の岸本景子さん(54)に相談したところ、「一緒にやろう」となった。

岸本さんは「子どもたちにとって次につながる場所にしたい。子どもより先に体が悪くなったらあかん、と日々頑張っている親御さんと共に(子どもたちを)見ていきたい」と話す。

たまのおうちでは、放課後や長期休暇中に子どもたちを預かり、入浴やリハビリなどをして過ごしてもらうという。

昨年9月に施行した「医療的ケア児支援法」では、医療的ケア児とその家族が適切な支援を受けられるよう、国や自治体に支援の責務を明記する。

たまのおうちを「希望の光」と期待するのは高島市安曇川町川島の中村美紀さん(48)。次男の岳音(たける)さん(8)は脳性まひのため生活全般に介助が必要だ。生後すぐから中司さんの訪問看護を受ける。

岳音さんには8歳上に姉がいる。中村さんは「他のきょうだいに時間をとってあげられなかったことがすごく心残り。ここがあればきょうだいのケアもできる」と話す。

開業は来年3月の予定。災害時の避難場所としての機能も担えるようにしていきたいという。(林利香)

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