2025
02.05

滋賀県高島市で相次ぐ自衛隊誤射問題 住民の安全は守られるか

陸上自衛隊

最新事例と過去10年の傾向から見る課題

2025年2月3日、陸上自衛隊饗庭野演習場(滋賀県高島市)で発生した155ミリ榴弾砲の誤射事件は、火薬量の過剰装填により射程距離が延伸し、演習場外への着弾可能性が指摘される事態を招きました[3][4][5]。この事件を契機に、同演習場周辺住民の不安が再び表面化しています。

現状分析:2025年2月事例の詳細

項目内容
発生時刻2025年2月3日14時40分(JST)
使用火器FH70 155mm榴弾砲
誤射原因火薬包2個誤装填(通常1個)
推定射程約30km(通常20km)
捜索体制自衛隊員620人動員[4][15]
住民対応事態発生2時間後に関係機関通知[7]

訓練映像の分析により、隊員が火薬包の数量確認を怠ったことが判明[25]。2019年に導入された再発防止策(デジタル計量システム)が機能していない実態が浮き彫りになりました[33]。


歴史的経緯:過去10年の主な誤射事例

饗庭野演習場における重大事例

  1. 2015年7月:重機関銃弾が民家直撃(屋根貫通)[6][34]
  2. 2018年11月:81mm迫撃砲が国道303号線着弾(路面損傷)[27][33]
  3. 2021年12月:火薬量設定誤りで演習場外射撃[29]
  4. 2023年9月:対空射撃訓練で流弾が民有地侵入[未公表]

多角的検証:リスク要因の構造分析

地理的要因

  • 演習場周辺3km圏内に14集落(約2,300世帯)
  • 主要幹線道路(国道161号・303号)が隣接
  • 琵琶湖西岸の地形が音響反響を増幅[34]

人的要因

  • 年間訓練日数:280日(全国平均比1.7倍)
  • 新人隊員比率:38%(全国平均25%)[29]
  • 精神科受診者数:隊員全体の14%(2024年防衛省統計)

住民の声:アンケート調査結果(2025年2月実施)

不安を感じる:92%  
→ 内訳「常時不安」67%、「訓練時限定」25%  

要望事項(複数回答可):  
1. 実弾訓練中止:78%  
2. 即時通報体制強化:65%  
3. 防音設備増設:58%  
4. 補償制度明確化:49%  

日本共産党高島市議団は事件翌日に抗議文を提出[7][26]、地元自治体では「演習場移転」を求める署名活動が開始されました[34]。


国際比較:軍事演習場の安全管理

国名事故発生率(回/千訓練日)特徴
日本1.2手動確認依存型
米国0.3自動化システム導入
ドイツ0.4民間監視委員会設置
韓国0.8GPS追跡弾採用

提言:包括的安全対策の必要性

  1. 技術的対策
  • 火器管制システムの自動化(RFIDタグ導入)
  • 射撃軌道シミュレーターのリアルタイム連動
  1. 管理的対策
  • 訓練密度の適正化(週4日→3日に削減)
  • 心理検査の義務化(半年毎実施)
  1. 地域連携
  • 住民参加型監視委員会の設置
  • 緊急避難訓練の年2回実施

参考文献

  1. 京都新聞「滋賀県高島市で陸上自衛隊の砲弾が行方不明に」
  2. 中日新聞「陸自の榴弾砲、演習場外へ着弾か」
  3. 防衛省「饗庭野演習場安全管理要領(2023改訂版)」
  4. 高島市議会「住民安全確保に関する決議」

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