高島市議会だより第104号発行 令和8年3月定例会の財政改革議論を詳報

高島市は令和8年4月24日、議会だより第104号を発行した。令和8年3月定例会における市民クラブすばる、誠真会、真志会、日本共産党高島市議団の代表質問と、高取誠隆議員ら10名の一般質問を全文掲載し、予算常任委員会など4常任委員会の審議結果、議案採決、意見書もまとめている。
全文PDFは高島市公式ホームページから4.6MBでダウンロード可能だ。市民が市政運営の最新動向を直接確認できる資料として、財政厳しさ下の行財政改革や地域課題への対応が焦点となった。
代表質問 各会派が財政・行政改革を追及
令和8年度一般会計予算案は317億3,000万円で前年度比10億7,760万円減となった。長期財政計画の改訂を背景に、各会派が歳出削減と政策実行体制を問うた。
市民クラブすばる 高木広和議員の質問
高木広和議員は令和8年度予算と長期財政計画についてまず見解を求めた。令和7年度の経費増加は人件費・扶助費などの義務的経費が主因で、臨時経費減により約10億円の減額となった点を指摘。令和8年度予算案10億7,000万円減の妥当性をただした。
市長は「市政全体の方向性を統一し、効率的な政策立案・実行体制が整えられる」と回答。次に新しいビジョン「生涯活躍できる安心安全なまちづくり」「健康で勝つまちづくり」「若者と子育て世代を引きつけ人口減少に打ち勝つまちづくり」の実現に向けた市政運営を問うた。
市長は各部局・関係機関との協議を進め、令和8年4月から市長直轄組織「官民共創本部」を設置すると説明。市長自身が調整機能を担うことで発展に貢献できるとした。
物価上昇の影響についても質問。原油など資源価格高騰が投資的経費や資材費に波及する可能性を指摘し、見解を求めた。市長は「長期化が見込まれるため、行財政改革を着実に進める必要がある」と述べた。
公共施設再編計画の具体目標も確認。10年で20%削減を目指し、毎年5,000万円の物件費削減を掲げている。事務事業見直しについては外部有識者を交えた議論を毎年テーマ設定で進め、市民合意形成に努めると回答した。
誠真会 廣部真造議員の質問
廣部真造議員は施政方針の自己評価と持続可能な行財政運営の整合性を問うた。厳しい財政状況下での歳出抑制とコスト意識徹底を求め、長期財政計画改訂を評価しつつ具体策を求めた。
市長は公共施設再編と事務事業見直しを強力に推進すると回答。正規職員の適正化計画についても会計年度任用職員の配置を踏まえ、組織スリム化を図るとした。
JR湖西線の強風対策と道路整備進捗も焦点。運休・遅延が市民生活に影響を与えているとして、庁内検討会議設置と関係機関連携を市長が説明。DX推進では「人材派遣型ふるさと納税」の活用を検討し、保育士確保では滋賀短期大学との連携協定で推薦枠新設を検討すると述べた。
Uターン就労者支援手当の提案にも前向きな姿勢を示した。
真志会 澤本長俊議員の質問
澤本長俊議員は長期財政計画の試算根拠と年次計画を詳細にただした。10年で公共施設20%削減目標の具体性と市民合意形成のスケジュールを問うた。
市長は物件費削減目標を毎年5,000万円とし、事務事業見直しを並行して進める方針を明らかにした。
饗庭野演習場周辺の騒音・振動対策では対象地域拡大を防衛省に要請。補助対象の見直しも検討中だと回答した。
日本共産党高島市議団 森脇徹議員の質問
森脇徹議員は饗庭野演習場対策の情報公開を求め、令和8年度前半に計画を公開し、市が中心となって協議会を設立すると市長が答えた。
「いちご事件」の4億円債権回収については高裁確定後、弁護士に資産調査・差し押さえを指示。事実解明チームを設け教訓を抽出すると説明した。
空き家対策と限界集落支援では来年度実態調査を実施し、振興計画改定で高齢世帯支援を強化。山村振興法改定後の対応も令和8年度計画に反映するとした。
一般質問 10議員が地域課題を多角的に提起
一般質問では10議員が日常に直結する政策を問うた。
高取誠隆議員はふるさと納税寄附減少要因と戦略を指摘。返礼品調達費率27%目標に対し、政策部長は経費率18.4%から見直し、専任職員配置で体制強化すると回答した。
吉里浩恵議員は環境保全条例へのゴミ屋敷対策追記を提案。環境部長は他自治体研究を進め、来年3月改正目標とした。
磯部亜希議員は能登半島地震を教訓とした防災DXを提起。被災者情報一元化システムを令和7年度から導入すると政策部長が答えた。
是永宙議員は子どもの体験格差是正を、教育総務部次長は参加要因分析と市長部局連携で対応するとした。
松木純子議員はごみ減量戦略を問う。目標811g/日に対し、環境部長はインセンティブ制度で行動変容を促すと説明した。
井上佳郎議員は地域公共交通の利便性向上を、デマンドタクシーや自動運転バス導入を都市整備部長が検討中と回答。
福井節子議員は安定ヨウ素剤備蓄を政策部長が人口3倍分確保、事前配布はUPZ圏内限定と説明した。
藍原章議員はリフィル処方箋周知を、医療費抑制策として市民生活部長が広報強化を約束。
吉見大議員は文化資源活用の地域ブランディングを、教育総務部次長が市民劇など継承推進と位置づけた。
清水大粋議員はふるさと納税拡充で米のアンテナショップ出品を提案。政策部長は有機農業計画でブランド化を図るとした。
常任委員会 予算・総務・産業建設・文教福祉の審議概要
予算常任委員会では令和8年度一般会計予算を主に審議。空き家対策、たかしまぐらしコーディネート、地域おこし協力隊、湖西線強風対策、キャッシュレス公共交通、新ごみ処理施設整備(令和11年度稼働目標)、新規就農者支援、有機農業推進などが議論された。
総務常任委員会、産業建設常任委員会、文教福祉常任委員会もそれぞれ所管議案を審査。公共施設再編やDX推進、子育て・教育関連施策の進捗を確認した。
議案審議結果と意見書
全議案は可決中心で成立。意見書では農業経営・食料供給強化を国に求め、予算確保、米備蓄買い戻し、コスト指標作成、水田政策の見直しなどを提言した。



高島市議会は今後も6月定例会を予定しており、議会インターネット中継を活用した市民参加を呼びかけている。議会だより第104号はこうした議論の記録として、持続可能な市政運営に向けた市民理解を深める一冊となった。
