2024
04.21

高島市の人気観光スポット「白鬚神社」で危険行為が横行

環境, 観光

Shirahige shrine at evening

滋賀県高島市にある白鬚神社は、琵琶湖に浮かぶ幻想的な大鳥居が有名な人気の観光地だ。この神社は古くから地元の人々に親しまれてきた場所であり、美しい景色と神聖な雰囲気を求めて、多くの観光客が訪れている。しかし、この人気スポットでは、大鳥居を間近で撮影しようとする観光客による危険な道路横断行為が大きな問題となっているのだ。

この問題は、近年の SNS の普及によって、”インスタ映え”を狙った撮影が流行したことが発端となっている。観光客は、琵琶湖に浮かぶ大鳥居を、できるだけ近くで、できるだけ迫力のあるアングルで撮影したいと考え、我先にと車道に飛び出していくのだ。中には、大鳥居の根元まで行き、柵を乗り越えて中に入る人もいるという。

こうした危険行為が常態化する中、2021年には、横断中の70代男性が車にはねられて死亡するという痛ましい事故も発生した。亡くなった男性は、家族と一緒に白鬚神社を訪れていたという。この事故をきっかけに、地元の行政や警察は対策に乗り出すことになる。

国土交通省滋賀国道事務所は今年3月、横断禁止の看板や侵入防止用の金属製の柵を設置するなど、ハード面での対策を強化した。看板は日本語だけでなく、英語や中国語でも書かれており、外国人観光客にも注意を呼びかけている。また、これまで設置されていた木製の柵から、高さのある金属製の柵に変更されたことで、大鳥居への不法侵入はかなり難しくなったという。

しかし、こうした対策にもかかわらず、危険な横断行為は一向に減る気配がない。取材時にも、次々と道路を渡る人の姿が見られた。中には、警告を無視して大鳥居に近づこうとする外国人観光客の姿もあった。こうした行為について、ある観光客は「やっぱり間近で見たかった。警告があるのは分かっているけど、ついつい近づいてしまう」と話している。

こうした状況を受けて、白鬚神社の高橋宮司は「ああいう姿を見ると本当に残念。私たちも注意を呼びかけているが、なかなか効果が出ない。関係機関に相談して、歩道橋の設置をお願いしたい」と話している。宮司の言葉からは、観光客の安全を何よりも願う、地元の人々の思いが伝わってくる。

白鬚神社の危険な道路横断問題は、景色の美しさと、それを求める人々の欲求が生み出した、現代ならではの課題だ。行政の取り組みと併せて、観光客一人一人が自らの行動を振り返り、安全性を意識することが何より重要だろう。「いいね!」や「シェア」を稼ぐために、命の危険を冒すことがあってはならない。幻想的な景色を楽しみつつ、ルールとマナーを守ることが、誰もが安心して観光を楽しむために欠かせないのだ。

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