江若鉄道展、白黒写真19点をカラー化——今津で8月1日まで

社会

高島市今津町で開催中の第2回江若鉄道展を伝える京都新聞デジタルの記事写真。展示会場と江若鉄道資料の様子
今津東コミュニティセンターで開かれている江若鉄道展 [報道機関の公開記事に基づく引用] 出典:京都新聞デジタル ※著作権は原権利者に帰属します。出典表示は許諾に代わるものではありません。掲載に関するご指摘がございましたら、お問い合わせいただければ確認のうえ削除・訂正に対応します。

琵琶湖西岸を走った江若鉄道の白黒写真19点がカラー化され、高島市今津町の今津東コミュニティセンターで展示されています。第2回「江若鉄道展」は2026年8月1日まで。午前9時から午後10時まで、期間中は無休で、入場は無料です。

京都新聞デジタルが7月27日に報じ、主催者側のNPO法人コミュニティねっとわーく高島と、びわ湖高島観光協会も開催概要を公開しています。写真を色付きにしたことだけが主題ではありません。安曇川駅で使われたタブレット交換機、白鬚駅のジオラマ、切符や戦前パンフレットが並び、鉄道が消えた後も地域の記憶をどう残すかが見える展示です。

僕は最初、「AIで古写真をカラー化」という技術側に目が向きました。ところが資料を追うと、面白いのは色の鮮やかさより、写真、実物、模型という異なる証拠を同じ会場で照合できることでした。

8月1日まで、今津東コミュニティセンターで開催

びわ湖高島観光ガイドが掲載する第2回江若鉄道展のイベント画像。開催日、会場、展示の案内を伝えるビジュアル
第2回江若鉄道展の公式案内 [公式公開情報] 出典:びわ湖高島観光協会 ※著作権は原権利者に帰属します。出典表示は許諾に代わるものではありません。掲載に関するご指摘がございましたら、お問い合わせいただければ確認のうえ削除・訂正に対応します。

開催概要は次の通りです。

項目内容
会期2026年7月19日(日)~8月1日(土)
時間9:00~22:00
会場今津東コミュニティセンター1階展示ホール
所在地高島市今津町中沼1丁目4-1
休館期間中無休
入場料無料
主催江若鉄道を語り継ぐ会

午後10時まで開いているため、平日の仕事帰りや買い物の後にも立ち寄りやすい設定です。展示会の開催時間としてはかなり長い。地域施設の展示は昼間だけと思い込みがちですが、今回は時間の選択肢があります。

ただし会期は8月1日までです。夏休み全体を通じた催しではなく、残り日数は多くありません。会場へ向かう際は、びわ湖高島観光ガイドまたは主催者の案内で当日の状況を確認するのが確実です。

19点のカラー写真と、安曇川駅の「実物」

NPO法人コミュニティねっとわーく高島が公開した、AIカラー化写真やタブレット交換機など第2回江若鉄道展の内容を知らせる公式案内画像
主催者側が公開する第2回江若鉄道展の案内 [公式公開情報] 出典:NPO法人コミュニティねっとわーく高島 ※著作権は原権利者に帰属します。出典表示は許諾に代わるものではありません。掲載に関するご指摘がございましたら、お問い合わせいただければ確認のうえ削除・訂正に対応します。

今回の特集は「AIでよみがえる!カラーで見る江若の風景」です。京都新聞によると、白黒写真19点を初めてカラー化しました。元の写真が記録した車両や沿線の暮らしに色を与えることで、江若鉄道を知らない世代にも距離を縮めようとしています。

ここで押さえたいのは、カラー画像が過去の色を完全に復元したものではない点です。AIによる彩色は、白黒の濃淡や学習データから色を推定します。車体色、制服、看板、季節の植生などに誤差が入り得ます。展示を見る側では、カラー版を「正解の写真」と受け取るより、元の白黒写真と見比べ、どこが推定なのかを考える方が面白いです。さすがに、色が付いたから史実も確定した、とは言えません。

一方、安曇川駅で実際に使われた赤いタブレット交換機は実物資料です。単線区間で列車の安全を確保するため、通行権を示すタブレットを受け渡す仕組みに関わる器具で、現役時代の運行を物として伝えます。白鬚駅のジオラマは空間を再構成し、写真は一瞬を残す。この三層が並ぶことで、一つの資料だけでは見えにくい鉄道の全体像が立ち上がります。

江若鉄道は「湖西線以前の暮らし」を運んだ

NPO法人コミュニティねっとわーく高島の公式ブログに掲載された第2回江若鉄道展の記事本文と開催概要のスクリーンショット
主催者側が案内する展示内容と開催概要 [公式サイトのスクリーンショット] 出典:NPO法人コミュニティねっとわーく高島 ※著作権は原権利者に帰属します。出典表示は許諾に代わるものではありません。掲載に関するご指摘がございましたら、お問い合わせいただければ確認のうえ削除・訂正に対応します。

江若鉄道は、大津と高島郡今津町を結び、琵琶湖西岸の移動を支えた私鉄でした。主催者側の案内では、廃止から57年とされています。現在はJR湖西線が地域交通の幹線ですが、その前の時代に人や荷物がどう動いたかを知るには、江若鉄道の記録が欠かせません。

地元では駅名や路線跡に土地の記憶が残ります。一方、転入者や若い世代にとっては「昔の鉄道」という一語で終わりやすい。今回の展示は、今津、安曇川、白鬚という現在も使う地名を、過去の交通網へ接続します。僕自身、路線図だけを見るより、駅で使われた道具や人が写る写真の方が、当時の時間感覚を想像しやすいです。

地域史の展示には、懐かしさと検証の両方が必要です。思い出を語る人がいる間に証言を集め、写真の撮影場所や年代を特定し、実物資料の由来を記録する。カラー化は入口を広げますが、資産になるのは元資料と来歴がセットで残ったときです。編集としては、今回の19点が今後どのような説明情報とともに保存されるかにも注目したいです。

なぜAI彩色が地域資料の入口を広げるのか

古写真のカラー化は、学校教育や観光案内にも応用できます。たとえば現在の同地点の写真と並べれば、湖岸、道路、建物、商店街の変化が見えます。地域の学習では、祖父母世代の証言と画像を組み合わせるきっかけにもなるでしょう。

ただし、色の推定を史料そのものと混同しない表示が必要です。元の白黒画像、カラー化した画像、推定に使った情報、分からなかった部分。この4点が分かる展示なら、AIは過去を勝手に塗る道具ではなく、資料を読み直す補助になります。僕はこういう展示ほど、技術の派手さより注釈の丁寧さが効くと思います。

今津東コミュニティセンターで実物を見られるのは8月1日まで。タブレット交換機の大きさ、ジオラマの位置関係、カラー写真と白黒写真の差は、画面越しではつかみにくい部分です。僕ならまず白黒とカラーを見比べ、それから実物資料へ進みます。江若鉄道を知る世代には記憶の照合を、知らない世代には湖西線以前の高島を考える入口を用意した展示です。