2026年5月1日から31日まで、高島市立今津図書館エントランスで図書館巡回展「わたしのまちの自費出版」が開催されています。第28回日本自費出版文化賞受賞作品16点と高島市在住・ゆかりの自費出版物33点が公開され、地元住民が自ら記録したまちの記憶に直接触れられる機会となっています。

自費出版は印部数や流通経路に制約が出やすい一方、題材の自由度が高いのが特徴です。今回の展示では、その多様さが図書館という公共空間で一度に比較できるため、読者側も「自分の手元に残す表現」の幅をイメージしやすくなります。

滋賀県高島市今津町に位置する高島市立今津図書館の外観をイメージした生成画像。琵琶湖西岸の落ち着いた環境に建つ図書館のエントランス付近。※画像は生成AIにより作成されたイメージです。
高島市立今津図書館エントランス(※生成AIイメージ) 出典:生成AIイメージ ※著作権は原権利者に帰属。二次利用は各規約に従ってください。

展示の開催概要

高島市立今津図書館は、滋賀県高島市今津町舟橋二丁目3番地1にあり、琵琶湖西岸の広い市域をカバーする図書館です。展示期間は2026年5月1日(金)から5月31日(日)までの31日間。開館時間は10時から18時で、休館日は月曜日、火曜日および5月7日(木)です。会場はエントランスホールで、誰でも自由に入場できます。

主催はNPO法人日本自費出版ネットワーク(JSN)、協力は高島市立今津図書館およびサンライズ出版です。サンライズ出版はJSN加盟社として企画運営に携わっており、淡海文化を育てる会を通じて問い合わせを受け付けています。連絡先はTEL 0749-22-0627、FAX 0749-23-7720、メール [email protected] です。

この展示は滋賀県内の図書館で巡回を続ける企画の一環で、商業流通に乗りにくい自費出版物を公共の場で紹介する点が特徴です。同時期に平和書店今津店およびB・PASS年輪では「本屋で買える わたしのまちの自費出版」フェアも実施され、展示作品の一部を購入できる環境が整えられています。

高島市ゆかりの自費出版物33点

展示の中心の一つが、高島市在住または高島にゆかりのある著者による自費出版物33点です。地域の自然、歴史、暮らしを題材とした作品が多く、商業出版では扱われにくい日常の記録を残したものが並びます。

具体例として、榊始氏の『ボク、ゴン太!―父と奥山暮らし 朽木針畑郷より ゴン太通信―』は、大阪から高島市朽木針畑郷に移住した著者が柴犬ゴン太との山村生活を綴ったものです。地域住民との協働や自然との共生が詳しく書かれ、地元での共感を呼びやすい内容として紹介されています。

また、滋賀県児童図書研究会の『滋賀の子どもの たからばこ』は、県内の子どもたちによる表現を集めた作品集で、教育現場との連携を示す一例です。幸田進氏の『薩長と最後まで戦った男―越後長岡藩家老・河井継之助―』は、歴史研究に基づく評伝で、高島市を含む近隣地域の文脈を全国史に位置づける内容です。

これらの作品は、高島市の人口約4万6千人、面積約693平方キロメートルという広い自然環境の中で生まれた視点が共通していると紹介されています。琵琶湖西岸の里山・里湖の風景や、過疎が進む集落の日常を、住民自身が文章や写真で残す試みとして位置づけられます。

高島市ゆかりの自費出版物が並ぶ展示風景をイメージした生成画像。背表紙や表紙の並び、地域史・自然を題材にした装丁の多様さを示す構成。※画像は生成AIにより作成されたイメージです。
高島ゆかり自費出版物展示風景(※生成AIイメージ) 出典:生成AIイメージ ※著作権は原権利者に帰属。二次利用は各規約に従ってください。

第28回日本自費出版文化賞受賞作品16点

もう一つの柱が、第28回日本自費出版文化賞の受賞・入選作品16点です。2025年9月1日に最終結果が発表された同賞は、NPO法人日本自費出版ネットワークが主管し、一般社団法人日本グラフィックサービス工業会が主催する国内最大規模の自費出版表彰です。2025年の応募総数は805点で、前年の718点を上回りました。

大賞は該当なしでしたが、新設の色川大吉賞に竹内尚代氏(長野県松本市)の『私のことはわたしが決める ―松本移住の夢をかなえたがん患者、77歳―』(個人誌部門、社会評論社/倉敷印刷)が選ばれました。同作品はがんを患いながら松本移住を実現した著者の自伝的記録で、個人の決断と地域移住の現実を克明に描いています。

部門賞には地域文化部門『紙で残す私の1枚』(「紙で残す私の1枚」刊行委員会編、長野県高山村)、個人誌部門『手記「もやいの海」』(菅原洋一氏)など7点が選出されました。特別賞は協賛企業7社から、シルバー特別賞は89歳の田邉泉氏『命の一升瓶-パラオからの引揚線-』(小説部門)に贈られています。

これらの作品は、応募作品の中から二次選考を通過した70点から最終審査員7名が選んだもので、グラフィック部門や詩歌部門まで幅広い部門があります。展示では全国レベルの自費出版の作品と地元作品を並べて紹介し、比較しやすい構成になっています。

5月9日開催 峰守ひろかず講演会

展示期間中の関連イベントとして、2026年5月9日(土)に峰守ひろかず氏の講演会「滋賀の妖怪の特徴と面白さ」が開催されます。会場は同図書館視聴覚室、開場13時30分、開演14時、終了予定15時30分です。講演約1時間のあと、質疑応答とサイン会を予定しています。

料金は無料、定員80名で予約制・先着順です。申し込みは淡海文化を育てる会(サンライズ出版内)の専用フォームまたは参加申込書をFAXで受け付けています。峰守ひろかず氏は1981年生まれの高島市在住の小説家で、電撃小説大賞受賞歴を持ち、2025年9月に『滋賀県妖怪事典』(1,000体収録)を刊行しました。講演では滋賀県独自の妖怪伝承を、収集した資料に基づいて解説する予定です。

視聴覚室の収容人数や機材の都合により、当日の進行が前後する場合があります。サイン会の実施可否や時間配分も、会場の案内に従う形が確実です。

峰守ひろかず氏の講演会をイメージした生成画像。滋賀の妖怪をテーマにした図書館イベントの雰囲気。※画像は生成AIにより作成されたイメージです。
峰守ひろかず講演会(※生成AIイメージ) 出典:生成AIイメージ ※著作権は原権利者に帰属。二次利用は各規約に従ってください。

「わたしのまちの自費出版」企画の巡回実績

「わたしのまちの自費出版」は、滋賀県内の図書館などを巡回するJSN主催の展示企画です。これまでに大津市立和邇図書館(2026年4月8日~30日)、草津市立図書館本館(2026年1月30日~2月24日)、長浜市の書店文泉堂(2025年11月~12月)などで実施され、各会場で地元著者の作品と当該回の文化賞受賞作を組み合わせています。

企画の特徴は、図書館と書店の連携にあります。文部科学省「図書館・書店等連携実践事例集」にも同種の取り組みが掲載されており、全国の類似事例として参照されやすい形です。巡回により、商業出版では流通しにくい地域の声や個人史を共有する仕組みが機能しています。

書店側のフェアでは、展示で紹介されたタイトルの一部が手に取れる場合があります。図書館での閲覧と書店での購入が近接していることで、来場者が「読む→買う」の流れを短くできる点も、企画全体の設計として意図されていると読み取れます。

高島市での開催は、琵琶湖西岸の自然と歴史を背景に、地元住民の創作意欲を刺激する機会になっています。展示を通じて自費出版の可能性を体感した来館者が、次の作品制作につながるケースも想定されます。

自費出版は「だれでも発信できる」特性を公共空間で実践するもので、商業出版の枠を超えた地域文化の蓄積に寄与し得ます。5月31日までの期間中、来館者は高島のまちと全国の自費出版の動向を同時にたどれます。予約や詳細はサンライズ出版の連絡先で確認してください。

今津図書館へのアクセスは、最寄りの公共交通と自家用車の両方が案内されやすい立地です。展示はエントランスホールに置かれるため、通常の借り出し手続きとあわせて立ち寄れる点も、初めての来館者には利点になります。休館日に注意し、講演会は定員に達し次第締め切られる可能性があるため、早めの申し込みが無難です。

展示に掲げられた書誌情報やあらすじは、会場掲示や主催側の案内資料の内容に依存します。本稿の書名・受賞区分・開催日程は、主催・協力団体の案内に基づく二次情報として整理しており、最新の変更は必ず問い合わせ先で確認してください。