高島市議会で能登半島地震教訓を活かした防災DXを質問

2026年4月24日発行の「高島市議会だより」第104号は、令和8年3月定例会における磯部亜希議員の一般質問を、見出し「能登半島から学び、高島市の防災に生かすためには」のもとで掲載しています。議員は被災者情報の一元管理や防災DXの進捗、広域避難所と備蓄、夜間・冬季の避難リスク、水道基幹管路の耐震化などを手がかりに市側の考え方をただしました。
一次資料は市公式サイトで公開されているPDFです。https://www.city.takashima.lg.jp/material/files/group/116/gikai104.pdf 本稿の引用・数値は、この議会だより第104号に掲載された問答の範囲に限定し、同PDFに現れない視察日程や他自治体名などは盛り込んでいません。
総合防災情報システムと被災者情報の扱い
防災DXへの取り組みを問う質意
磯部議員は、被災者情報の一元管理のシステム化が避難所運営や被災者台帳作成の効率化につながることから、防災DXにどう取り組んでいるのかを問いました。見出しが能登半島に言及していることからも、近年の大規模地震で改めて論点化した「情報の扱い」と「現場負荷」の両面が、質問の背後にあると読み取れます。
政策部長答弁の要点
政策部長は、災害対応の基盤となる総合防災情報システムを令和6年度に導入し、令和7年度から運用し、被災情報や対策の検討から指示の伝達までを災害時に実施する方針であると答弁しました。ここでいう総合防災情報システムは、発災後の情報集約と意思決定のスピードを支える中核として位置づけられていると解釈できます。
被災者情報を一元管理するシステムについては、住民基本台帳と連動した避難行動要支援者名簿管理システムを令和4年度に導入していることに触れたうえで、避難行動要支援者以外の方の被災情報管理までは現状できていない旨を述べています。支援対象者に絞ったデータ基盤がある一方、一般の被災者情報の扱いはこれから広げる余地がある、という整理です。
今後は国におけるマイナンバーカードを利用した避難所運営のデジタル化の実証実験を注視し、必要な整備を検討する考えだとしています。自治体単体の開発だけで完結しない領域でもあるため、国の実証結果が出たあとの設計判断が焦点になりそうです。
総合防災情報システムが担う「指示の伝達」は、現場の消防・警察・医療・福祉など複数系統にまたがる調整の要になります。第104号の答弁が、被災情報から対策検討までを一連の流れとして述べているのは、断片的なExcel運用からの脱却を意識した説明だと受け取れます。導入年度と運用開始年度が分かれている点も、機器・研修・手順書の整備に時間を見込んでいるサインです。
備蓄と広域避難所の開設・誘導
倉庫分散備蓄と広域先への事前配置
備蓄品が各防災倉庫で管理されていることに関連し、広域避難所などにも置くべきではないかという質意に対し、政策部長は、平常時の維持管理や災害時の物資輸送に人手もかかるため、現状の備蓄方法が最適であると考えていると答えました。物資の見える化や在庫管理の高度化とは別次元で、物理的な運用コストを市側は重く見ている印象です。
広域避難所の開設条件と一次避難所の役割
広域避難所への避難の在り方については、政策部長は、災害時には広域避難所の安全確認を行ってから開設することとしており、安全管理や開設準備が整わない中での開設は現時点では取り入れていないと説明しています。ここでは「早く開け」より先に「開けて安全か」を優先する運用が明文化されています。
危機管理監は、地域の一次避難所等で安否確認が行われるなど、広域避難所が開設されるまでの間は一次側でしのいでいただくようお願いしていること、広域側では施設の安全確認のうえ案内したい考えであることを述べています。広域へ一気に流すのではなく、段階的な避難・確認のプロセスを前提にした答弁です。
議員側から「それでも広域避難所に避難される方がいるのではないか」という追及の形が掲載されており、想定外の流入や帰宅困難者の受け皿としての広域施設の役割をどう位置づけるかが、問答の緊張点になっています。市側は現時点では、準備と安全確認を優先する運用を繰り返し説明しています。
夜間・冬季の避難と水道管路の耐震
鍵の到着待ちや高齢者の移動リスク
冬場や夜間に高齢者が広域避難所に来られる可能性や、鍵の到着を待つリスクについての質意に、危機管理監の答弁が同じ掲載面で続く形で掲載されています。紙面は質問と答弁が対話形式で配置されており、読み手は質問ブロックと答弁ブロックの対応を追いながら内容を把握する形になります。
感震キーボックスに関する提起
また、感震キーボックスの普及を踏まえ、揺れを感知して自動開錠する装置を試験的に一部でも導入できないかという提起も掲載されています。第104号の当該ページに収まるテキスト抽出では、感震キーボックス単体に対する市の導入スケジュールの断定文までは機械的に拾い切れないレイアウトになっているため、本稿では質意の紹介にとどめます。
基幹管路の耐震化の数値
医療機関や広域避難所を優先して水道の基幹管路の耐震化や老朽管路の更新を進めていくことへの進捗を問う質意に対し、都市整備部長は、令和6年度決算資料に基づき、基幹管路の耐震適合率は15・1%、うち耐震管の割合は14・2%であり、令和4年度決算時と比較してそれぞれ1・5ポイント増加したと答弁しました。管路更新は地中インフラのため進捗が見えにくい分、決算ベースで率が示された点は、議会資料として追いかけやすい材料です。
耐震適合率と耐震管の割合が別指標として示されているのは、管路全体の評価と、すでに耐震管へ差し替えた区間の比率を分けて見せるためです。いずれも一桁台前半という水準は、全国の自治体でも「長期課題」として語られることが多い部類であり、高島市の答弁は増分を数字で示すことで、継続投資の成果を説明する体裁になっています。
市民がチェックしやすい公式情報
議会だよりは紙面またはPDFで完結する一方、防災の実務情報はウェブの特設ページやお知らせ欄で随時更新されます。ハザードマップの改訂、避難訓練の日程、警報発表時の行動指針などは、議会質疑の補助線としてあわせて見ておくと理解が深まります。
地域防災計画の本文は分量が多いですが、自宅周辺の一次避難所・広域避難所の名称だけでも押さえておくと、第104号の問答で登場した「一次でしのぐ」「広域は安全確認後」という言葉の置き場所が具体的になります。家族で「夜間に鍵が開かない施設が指定避難所に含まれるか」を確認するだけでも、冬場のリスク意識は一段上がります。
防災DXという言葉は、画面やアプリの導入だけを指すわけではありません。今回の問答では、名簿・台帳・備蓄・開設判断・管路といった現場オペレーションごとに、デジタルで何が補え、何がまだ人手に残るのかが議論の表に載っています。技術導入の前後で、職員配置や訓練シナリオがどう変わるかは、今後の実装フェーズで改めて問われる余地が残ります。議会だよりは、その論点を市民が後から検索しやすい形に固定した記録でもあります。

防災情報の周知や平常時の備えは、総合防災ハザードマップなど市の防災コンテンツとあわせて確認できます。地震や水害などの想定リスク、避難行動の考え方は、次の公式ページから辿れます。https://www.city.takashima.lg.jp/soshiki/seisakubu/kikikanrikyokubosaika/1_2/2266.html
高島市は滋賀県北部に位置し、湖岸・山地が近接する地形もあって、豪雨や降雪、地震動の想定が防災計画の前提に組み込まれやすい地域です。議会だよりの防災特集は、そのような前提のもとで「システム」「備蓄・広域」「夜間冬季・インフラ」と論点を分けて議論が整理されている点が読み取れます。

議会広報としての意義と確認の手がかり
だよりで追える論点
第104号は、議員側の質問文言と部局長・危機管理監の答弁を対にして読める体裁で、防災DXや避難・備蓄・管路耐震といった実務テーマを一冊に収めています。能登半島地震を念頭に置いた見出しが付されており、大規模災害を教訓とした市政の議論を市民が追いかける材料になります。
同号には磯部議員のほかにも各種一般質問が掲載されているため、防災に限らず市政の優先課題を横断的に把握したい読者には、目次から必要なページだけを拾い読みする使い方も向きます。
議員情報の公式ページ
磯部亜希議員のプロフィールや写真は、市議会の議員紹介ページで公開されています。https://www.city.takashima.lg.jp/soshiki/gikaijimukyoku/1/3/1/329.html

市は総合防災情報システムの本格運用に合わせ、国の実証動向も見ながら被災者情報の扱いを広げる検討段階にあります。市民側では、議会だよりの該当ページとあわせ、地域防災計画やハザードマップの更新情報を定期的に確認しておくと、議論の背景が追いやすくなります。
次の定例会や防災関係の補正・予算説明が行われた際には、今回の答弁と数値がどう更新されるかが、継続的なチェックポイントになります。とくに管路耐震の率は年度決算ごとに動く指標ですから、同じ問いを別の議員が再質問するケースも、広報上は珍しくありません。

