高島ワークワーク協同組合が県内初の「特定地域づくり事業協同組合」に——10月ごろから派遣開始の予定
高島市の「高島ワークワーク協同組合」が、滋賀県内で初めて「特定地域づくり事業協同組合」に認定されました。早ければ今年10月ごろから、農業・林業・観光サービス業などへの人材派遣を始める予定です。
認定式は先週23日に県庁で行われ、三日月大造知事から清水安治代表理事に認定証が手渡されました。びわ湖放送が同日のニュースで伝えています。制度名だけ見ると硬いのですが、中身は「季節でしか人が要らない仕事」をまとめて一つの雇用にする仕組みです。僕は最初、地域おこし協力隊の派遣版くらいに思っていたのですが、調べると雇用の形そのものを変える制度でした。県内第1号がこの市から出たのは、産業構成を考えると腑に落ちます。

農業・林業・観光サービス業をまたいで派遣——組合が正社員として雇う形

特定地域づくり事業協同組合は、人口減少が進む地域で、組合が雇用した労働者を季節ごとの需要に応じて事業者へ派遣できる制度です。夏は観光、秋は農繁期、冬は別の仕事——というように、単独では通年雇用にならない仕事を組み合わせます。
高島市内では農業や林業、観光サービス業などが対象として挙がっています。今回の認定で、これらの事業の拡大・維持が進み、安定した雇用環境の確保や地域外からの人材流入が促進されることが期待されると報じられています。
編集としては、この制度の勘所は「誰が雇用主になるか」だと読んでいます。個々の農家や旅館が通年で人を抱えるのは難しくても、組合が雇えば社会保険つきの正規雇用にできる。求職者側から見ると、応募先が個人事業主から組合に変わるだけで、判断の材料がまるで違ってきます。
派遣開始は早ければ10月ごろ——秋から冬の需要をどう埋めるか

高島ワークワーク協同組合では、早ければ今年10月ごろから人材の派遣を開始する予定だとしています。10月というのは、湖西では農繁期と紅葉シーズンが重なる時期です。制度の実効性を測るには、ちょうどよい入り口だと思います。
気になるのは冬です。びわこ箱館山のようなスキー・雪遊びの需要がある一方で、農業側は仕事が細ります。季節の谷をまたいで人を回せるかどうかが、この仕組みの成否を分けるところでしょう。
企業側では、単発のアルバイト募集にかけていた採用コストが、組合への発注に置き換わります。求人を出しても人が来ない、という状態が続いている事業者ほど、この形は現実的な選択肢になるはずです。
県内第1号という位置——ほかの市町が続くかは高島の実績次第

制度自体は全国で運用が進んでいますが、滋賀県内での認定は今回が初めてです。つまり、県内のほかの自治体や事業者は、高島の運用を見てから判断することになります。第1号は看板であると同時に、事例づくりの役目も背負います。
いや、これは重い立場です。派遣先の労働環境、賃金水準、組合の財務——どれか一つでも躓けば、後続の設立意欲が冷えます。逆にうまく回れば、湖北や甲賀のような似た条件の地域が続きやすくなる。
観測できる次の一手は、10月の派遣開始時点で何人が雇用され、何社に派遣されるかです。僕は、初年度の人数より、2年目に契約を更新する事業者の割合を見たいと思っています。季節労働の受け皿として定着するかは、そこに出ます。
参照した主な情報
– びわ湖放送/webアミンチュ「県内で初めて『特定地域づくり事業協同組合』に認定」 – 中小企業庁 特定地域づくり事業協同組合制度 – 滋賀県
