賃上げ対策支援金は「基本給を3.5%上げた従業員1人6万円」——予算の申請状況は7月24日時点で約45%

経済・ビジネス

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高島市中小企業者等賃上げ対策支援金の要件を示した公式資料 [自治体の公式公開情報] 出典:高島市公式サイト(ページID 14187・提出書類チェックリスト) ※著作権は原権利者に帰属します。出典表示は許諾に代わるものではありません。掲載に関するご指摘がございましたら、お問い合わせいただければ確認のうえ削除・訂正に対応します。

高島市が実施している「中小企業者等賃上げ対策支援金」について、市が予算の申請状況を公開しています。2026年7月24日現在で、予算に対する申請状況は約45%。市は「予算上限に達した場合は、期間内でも受付を終了する場合があります」と注意を付けています。

支援金の額は、前月と比較して3.5%以上の賃上げを行った従業員1人につき6万円。上限は20人分で、1事業所あたり最大120万円です。申請期間は2026年10月30日必着まで。

僕がこの制度で最初に確認したのは、3.5%という数字が何に対する3.5%なのかでした。ここを読み違えると、申請できると思っていたのにできないという結果になります。

3.5%は「基本給のみ」——諸手当は含まない

市の説明は明確です。「令和7年10月1日から令和8年9月30日までの間に、前月と比較して3.5%以上従業員の賃金を上げていること(基本給のみ。諸手当は除く。)」。

そして基本給の定義も給与形態ごとに示されています。

給与形態基本給とみなすもの
月給制月額給与
日給制1日あたりの日額給与
時給制時間あたりの時間給与

つまり通勤手当や住宅手当、残業代を増やしても対象になりません。判定されるのは基本給だけです。

意外と、ここは実務でつまずきやすい部分だと僕は思います。実際の賃上げは「手当を新設する」「残業を減らして基本給に振る」といった形で行われることも多い。ところがこの制度は、基本給の額そのものが3.5%上がっているかを見ます。

もうひとつ重要なのが、会社全体ではなく従業員ごとの判定だという点です。市のよくある質問にこうあります。「会社全体で3.5%以上あがっていなくても申請出来ます。従業員の中で対象期間内に3.5%以上賃金があがっている者がいれば申請出来ます」。

いや、これは事業者にとって使いやすい条件です。全従業員を一律に上げなくても、上げた人の分だけ申請できる。10人の会社で3人だけ3.5%上げたなら、3人分18万円を請求できることになります。

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市が公開している提出書類チェックリスト [自治体の公式公開情報] 出典:高島市公式サイト(ページID 14187) ※著作権は原権利者に帰属します。出典表示は許諾に代わるものではありません。掲載に関するご指摘がございましたら、お問い合わせいただければ確認のうえ削除・訂正に対応します。

表層は「賃上げ補助」、本質は「賃上げの時期を市が指定していること」

対象期間の扱いが、この制度でいちばん厳しい部分です。市は対象例と対象外例を具体的に並べています。

対象になる例。令和7年9月(賃上げ前)と令和7年10月(賃上げ後)の比較なら、賃上げ月が対象期間内なので対象。令和8年8月と令和8年9月の比較で給与支払が9月なら、賃上げ月と給与支払の両方が期間内なので対象。

対象外になる例が3つ挙げられています。令和8年9月と令和8年10月の比較は、賃上げ後の月が期間外なので対象外。令和8年8月と9月の比較でも、給与支払が10月なら対象外。令和7年8月と9月の比較で給与支払が10月の場合も、給与支払が期間内でも賃上げ後の月が期間外なので対象外。

さすがに、この3つを読み比べると条件の厳しさが分かります。「賃上げ後の月」と「給与支払の月」の両方が令和7年10月1日から令和8年9月30日の間に収まっていなければならない。

僕がここを重要だと思うのは、賃上げを検討している事業者の判断に直接効くからです。いま8月に賃上げを決めるなら、9月の給与に反映して9月中に支払わなければ間に合いません。10月支払いにすると対象外になる。

そして、市はもうひとつ条件を置いています。「引き上げ後の賃金水準を1年間継続すること」。一時的に上げて戻すことは認められません。

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給付申請書兼請求書(様式1)。裏面に宣誓・同意事項が置かれている [自治体の公式公開情報] 出典:高島市公式サイト(ページID 14187・給付申請書兼請求書) ※著作権は原権利者に帰属します。出典表示は許諾に代わるものではありません。掲載に関するご指摘がございましたら、お問い合わせいただければ確認のうえ削除・訂正に対応します。

使えるのは誰か——「令和8年3月1日現在」で線が引かれている

対象者の条件を整理します。

令和8年3月1日現在で市内に事務所または事業所があり、中小企業基本法第2条第1項に該当する会社および個人。そして同じ3月1日現在で、従業員を1名以上雇用していること(事業主本人を除き、雇用保険加入者が対象)。事業収入が主たる収入であること。申請時点で市税の滞納がないこと。

法人格については、一般社団法人や特定非営利活動法人なども、規模が中小企業基本法の水準と同等で収益事業を行っている場合は対象になるとされています。

一方で従業員としてカウントされない人が明記されています。代表者(個人事業主本人)、事業専従者、会社役員、日雇い労働者、週20時間未満の勤務などで雇用保険未加入の人。

まあ、ここは制度としては標準的な線引きです。ただ、家族経営の小規模事業者だと該当者が誰も残らないケースが出てきます。市が「自団体が対象となるかどうかなど、不明な場合は、申請前にお尋ねください」と書いているのは、その照会が実際に多いからでしょう。

もうひとつ見落とせない条件があります。「国、地方公共団体その他公的機関による財源措置により、運営費の大半を得ていないこと。または、当該賃上げの原資が実質的に補填されていないこと」。

つまり、公費で運営費の大半を得ている団体は対象外です。市のよくある質問でも「支援が重複しているとみなされる場合は対象外」と説明されています。介護や保育のように公定価格で運営される事業は、ここで慎重な確認が必要になります。

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市が公開している申請書の記入例 [自治体の公式公開情報] 出典:高島市公式サイト(ページID 14187・申請書記入例) ※著作権は原権利者に帰属します。出典表示は許諾に代わるものではありません。掲載に関するご指摘がございましたら、お問い合わせいただければ確認のうえ削除・訂正に対応します。

「申請状況約45%」という数字の読み方

僕がこの制度を記事にした一番の理由は、市が予算の消化状況を公開していることです。

2026年7月24日現在で約45%。申請期間は3月26日から10月30日までで、7月下旬に45%というのは、期間の折り返しあたりで予算の半分弱という進み方です。

このペースだと10月30日まで枠が残る可能性はありますが、確実ではありません。賃上げの実施が令和8年9月30日までという条件なので、9月に賃上げを実施した事業者の申請が10月に集中する構造になっています。つまり終盤に申請が積み上がる制度設計です。

だとすれば、45%という数字は「まだ余裕がある」と読むよりも、「9月・10月の駆け込み分がこれから乗る」と読むほうが安全でしょう。市が「予算上限に達した場合は、期間内でも受付を終了する場合があります」と書いているのは、その可能性を示しています。

僕としては、すでに要件を満たしている事業者は10月を待たずに出しておくのが確実だと思います。賃上げの実施と1月以上の支給実績があれば、その時点で申請できる制度です。

追いかけるべき点

提出書類は9種類あります。給付申請書兼請求書(様式1)、宣誓・同意事項、支給対象従業員一覧(様式2)、労働条件通知書または雇用契約書の写し、賃金台帳の写し(賃金改定月とその前月分)、事業所別被保険者台帳の写し、引上げ後の賃金支払を確認できる書類、振込先を確認できる書類、雇用期間証明書(雇用期間の定めがある従業員がいる場合)。

市はチェックリストのPDFを公開しており、「以下の『チェックリスト』から、提出書類を必ず確認してください」と案内しています。様式はExcelとPDFの両方、記入例も併せて出ています。

申請は郵送と窓口の両方が使えます。郵送先は高島市新旭町北畑565の賃上げ対策支援金事務局あて、窓口は高島市役所新館2階で受付時間は9時から16時(土日祝を除く)です。

追いかけたいのは、10月30日までに予算枠が埋まるかどうかと、この制度が来年度も続くかです。賃上げの実施期間が令和7年10月から令和8年9月に区切られているので、来年度も同様の枠を置くなら、対象期間が令和8年10月から始まる形になるはずです。そこが示されるかどうかで、事業者が中期の賃上げ計画を立てられるかが変わります。

参照した主な情報

高島市「高島市中小企業者等賃上げ対策支援金について」(ページID 14187)