平和の集いで中学生2名が戦跡訪問の作文を発表——8月8日、安曇川公民館で事前申込なし

社会

画像
市が掲載している令和7年度平和の集い式典の様子 [自治体の公式公開情報] 出典:高島市公式サイト(ページID 9185) ※著作権は原権利者に帰属します。出典表示は許諾に代わるものではありません。掲載に関するご指摘がございましたら、お問い合わせいただければ確認のうえ削除・訂正に対応します。

高島市が「高島市戦争犠牲者を追悼し平和を誓う市民の集い」を2026年8月8日(土曜日)14時から16時まで、安曇川公民館ふじのきホール(高島市安曇川町田中89番地)で開催します。

どなたでも参列でき、事前申込は不要。参列を希望する人は直接会場に行く形です。

僕がこの案内で目を留めたのは、式次第の中身でした。式辞と追悼のことばと献花という定型の要素に加えて、3つの項目が入っています。

追悼式に「発表」と「話」と「朗読」が組み込まれている

内容担い手
式辞
追悼のことば
献花
次世代戦跡訪問研修参加者作文発表市内中学生2名
戦没者遺族のお話「父の戦跡を訪ねて」竹井昌夫氏
献歌どれみふぁ倶楽部の皆さん
平和都市宣言の朗読高島市青年協議会、市内中学生

7項目のうち、中学生が2箇所に登場します。作文発表と、平和都市宣言の朗読です。

「次世代戦跡訪問研修」という研修があることが、この式次第から分かります。中学生を戦跡に連れて行く事業が市にあり、その参加者が作文を書いて、追悼式で発表する。

いや、この構成には狙いがはっきり出ています。追悼式は本来、遺族と関係者のための場です。年を追うごとに参列者は減り、平均年齢は上がります。そこに研修参加者の発表を組み込むと、参列する理由のある人が増えます。

市の説明文にこうあります。「すべての戦争犠牲者を追悼し、恒久的な平和を願う心を次世代へつなぐため開催します。戦後80年余りが経過しようとする中、今一度平和の尊さについて考えてみませんか」。

戦後80年余りという表現が使われています。2026年は戦後81年です。80年という区切りの年が過去になった段階で、市が使う言葉が「80年余り」に変わっている。

画像
チラシ上部。日時と会場、参列自由であることが示されている [自治体の公式公開情報] 出典:高島市公式サイト(ページID 9185・令和8年度 平和の集いチラシ) ※著作権は原権利者に帰属します。出典表示は許諾に代わるものではありません。掲載に関するご指摘がございましたら、お問い合わせいただければ確認のうえ削除・訂正に対応します。

表層は「追悼式の開催告知」、本質は「語り手の世代交代を組み立てていること」

遺族のお話の演題が「父の戦跡を訪ねて」です。語るのは竹井昌夫氏。

僕はこの演題に、戦争を語る立場の変化が表れていると読みました。戦地に行った本人ではなく、その子が、父が行った場所を訪ねた経験を語る。体験の証言から、遺族による追体験の報告へ移っています。

そして中学生が「次世代戦跡訪問研修参加者」として作文を発表します。こちらは血縁のない世代が、同じく戦跡を訪ねた経験を語る形です。

つまり式次第のなかに、戦跡を訪ねた人が2組並んでいます。ひとりは戦没者の子、もう一方は縁のない中学生。同じ場所を訪ねた話を、続けて聞くことになります。

さすがに、これは意図した並べ方でしょう。遺族が語れる期間には限りがあります。父が出征した世代の子が語れるのも、あと十年ほどの話です。その後に残るのは、研修で訪ねた中学生の言葉だけになります。

献歌を担当する「どれみふぁ倶楽部」という団体名が、追悼式の名簿に並ぶと少し柔らかく見えます。地域の合唱グループでしょう。平和都市宣言の朗読を高島市青年協議会と市内中学生が担当するのも、若い世代を式の担い手として配置する形です。

まあ、追悼式の運営としては手堅い。式典を「見に来る場」ではなく「役割を持つ人がいる場」にすると、参列者が続きます。

画像
チラシ下部。式次第と問合せ先が記載されている [自治体の公式公開情報] 出典:高島市公式サイト(ページID 9185・令和8年度 平和の集いチラシ) ※著作権は原権利者に帰属します。出典表示は許諾に代わるものではありません。掲載に関するご指摘がございましたら、お問い合わせいただければ確認のうえ削除・訂正に対応します。

8月8日という日付の選び方

開催日は8月8日です。広島の8月6日と長崎の8月9日の間に置かれています。

意外と、この日付の取り方は説明が必要かもしれません。全国戦没者追悼式は8月15日に行われます。自治体の追悼式は、この時期のどこかに設定されます。8月8日は土曜日で、6日と9日を避けつつ、参列しやすい週末に当たる日です。

会場は安曇川公民館ふじのきホールです。市内には高島市民会館、藤樹の里文化芸術会館、ガリバーホールといったホールがありますが、公民館のホールが選ばれています。追悼式の規模に合った会場ということでしょう。

時間は14時から16時までで、括弧書きに「予定」と付いています。7項目の式次第で2時間なので、遺族のお話と中学生の作文発表にそれぞれ時間が取られる構成のようです。

僕が参列を検討する人に関わる点として気にしたのは、事前申込が不要な点です。「参列を希望される方は直接会場へお越しください」と明記されています。遺族に限らず、誰でも入れます。

画像
チラシ2ページ目。会場案内などが記載されている [自治体の公式公開情報] 出典:高島市公式サイト(ページID 9185・令和8年度 平和の集いチラシ) ※著作権は原権利者に帰属します。出典表示は許諾に代わるものではありません。掲載に関するご指摘がございましたら、お問い合わせいただければ確認のうえ削除・訂正に対応します。

追いかけるべき点

僕が気にしているのは3つです。

ひとつめは、次世代戦跡訪問研修の継続と規模です。作文を発表する中学生が2名ということは、研修の参加者は多くても十数名でしょう。この研修が毎年続くかどうかが、10年後の追悼式の形を決めます。

ふたつめは、参列者数の推移です。市が公表するかどうかは分かりませんが、遺族の高齢化で参列者が減るのは全国共通の傾向です。中学生と青年協議会を式の担い手に入れることが、参列者数にどう影響するか。

みっつめは、平和都市宣言の扱いです。高島市が平和都市宣言を出していることが、この式次第から分かります。宣言は朗読される機会がなければ実質的に忘れられていくものなので、毎年読む場を設けているのは意味があります。

問合せは高島市社会福祉課(0740-25-8120)です。

参照した主な情報

高島市「『高島市戦争犠牲者を追悼し平和を誓う市民の集い』を開催します。」(ページID 9185)