市民説明会を開いてほしい——新ごみ処理施設で、署名が始まった

社会

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2026年8月27日、Change.org に「高島市新ごみ処理施設整備事業 今後の負担と価値について考えよう」というオンライン署名が公開されました。発信者は宮永文音さん。ページの主旨は、市長あての要望書を出すための賛同を集めることです。要望の核は、施設の是非そのものではなく、市民全体を対象にした公開の説明会と、双方向の意見交換を早く開いてほしい、という一点です。

確認日は2026年8月30日です。署名ページは滋賀県高島市民向け、と書いています。URLは短縮リンク `https://c.org/QFy84NB7j8` から、Change.org の当該ページへ飛びます。認証済み賛同は、同日に開いた画面では1件でした。件数は日々変わるので、いまの数字は署名ページの表示を見てください。

安曇川町田中(泰山寺)地先の造成現場(2026年7月)
新ごみ処理施設の建設地造成(2026年7月、進捗率22.3%、西から東。高島市公式掲載) [自治体の公式公開情報] 出典:高島市公式サイト(新ごみ処理施設造成工事について) ※著作権は原権利者に帰属します。出典表示は許諾に代わるものではありません。掲載に関するご指摘がございましたら、お問い合わせいただければ確認のうえ削除・訂正に対応します。

市公式は、同じ週の少し前にページを更新しています。環境センター建設課の「取組について」(ページID 15732)と「工事の進捗」(15752)の更新日は2026年8月20日。造成工事のページ(15733)は8月19日です。署名は、市が造成着手と入札の途中経過を公式に出した直後に始まっています。知りませんでしたが、15732の建設場所表記は「安雲川町」と「安曇川町」が混在します。地先は田中(泰山寺)で、地図の場所は変わりません。表記はゆれますが、地先の名前は同じようです。

要望書が求めていること——公開の場と、その場での応答

署名ページに貼られた要望書の題は、「新ごみ処理施設整備事業に関する市民説明会の早急な開催を市に求めることについての要望書」です。要望事項は、だいたい次の一文に収まります。

市民全体を対象とした公開の市民説明会を早急に開き、最新の情報を分かりやすく説明すること。一方的な説明にとどまらず、市民がその場で質問し、市が回答し、意見や提案を聴く時間を十分に確保すること。

ページは、泰山寺地区で事業が進み、造成工事も始まっている、と書きます。36年にわたる財政負担、人口減少、ごみ量の変化、物価と人件費、広域連携、といった論点を並べたうえで、市から今後の見通しの説明が必要ではないか、としています。ここまでは要望側の文です。市がこの要望を受け取った、という公式発表は、8月30日時点の市サイトでは見当たりません。提出済み、とは書いてありません。

とにかく僕が気になるのは、要望が「工事を止めよ」ではなく「説明会を開け」になっている点です。止める/進めるの前に、公開の問答を置け、という型に読めます。市の回答としては、まだ出ていません。

署名ページに掲載された「負担と価値」の案内図
Change.orgの署名ページに2026年8月27日掲載の案内図。試算の数字は署名側の資料(市公式の予定価格とは別) [市民の公開署名ページに基づく引用] 出典:Change.org(宮永文音さん) ※著作権は原権利者に帰属します。出典表示は許諾に代わるものではありません。掲載に関するご指摘がございましたら、お問い合わせいただければ確認のうえ削除・訂正に対応します。

署名ページの図には、一人当たり負担の試算や「温熱利用なし」といった書き方が入っています。図の数字は市公式の予定価格表ではありません。市公式の予定価格表とは別の資料です。図は、要望側が何を論点にしたいか、を示すものです。

市公式が8月に並べた数字——造成、予定価格、搬入路

署名の文と、市の8月ページは、同じ事業の別の層です。市公式(15752、更新2026年8月20日)は、事業者選定を総合評価一般競争入札で進め、10月に選定、12月議会での本契約を目指す、と書きます。事業方式はDBO(設計・建設と運営20年を一括発注)。

予定価格は税込み28,729,932,000円です。内訳は施設整備14,495,184,000円、運営費14,234,748,000円。おおよそ287億円です。署名文が挙げる「令和6年試算250億円」「令和7年見直し303億円」は、この予定価格そのものではありません。250億円に近い数字は、市の基本計画概要(令和6年2月)が、参考見積の平均として建設約113億円+運営20年約137億円=約250億円(税込み)と書いたものです。303億円は、朝日新聞(2025年11月27日)が、令和8年3月定例会の補正で債務負担行為として盛り込まれた整備運営業務委託(令和8〜29年度)の額として報じた数字です。三つの数字は、対象期間と税の扱いが違います。署名文は250と303を対にして「膨れ上がった」と読みます。市の8月ページは、いまの入札の予定価格として287億円台を出しています。同じ円でも、表が違います。

造成は始まっています。市公式(15733)は、工事名を令和7年度第10215号、契約工期を令和8年4月9日から令和9年3月26日、受注者を山下建設株式会社、と書きます。作土の除去と切り盛り、擁壁、水路と調整池。完了目標は令和9年3月。進捗写真のキャプションは、2026年5月6.1%、6月12.3%、7月22.3%(いずれも西から東)です。着工前の写真も、2025年5月として載っています。署名が「造成工事も開始されています」と書く点は、この公式写真と日付と重なります。平面図PDF(heimen2.pdf)と工程表PDF(koutei.pdf)も同じページに付いています。現場の写真と、PDFの線は、両方開かないと「どこまで掘っているか」が切れます。

燃やせるごみは、平成30年2月末に環境センターのガス化溶融炉が止まって以降、三重県伊賀市の民間事業者へ委託しています。15732も、近隣市との広域は各市の施設更新が先に進んで断念し、平成29年6月に市単独の移転新設方針になった、と書きます。いまの造成は、その単独方針の延長です。う〜ん、委託が続いているあいだに資材と労務が上がり、規模を39トンへ削った、という順序は、公式の経過と矛盾しないようです。

造成着工前の建設地(2025年5月)
造成着工前の建設地(2025年5月、南西から北東。高島市公式掲載) [自治体の公式公開情報] 出典:高島市公式サイト(新ごみ処理施設造成工事について) ※著作権は原権利者に帰属します。出典表示は許諾に代わるものではありません。掲載に関するご指摘がございましたら、お問い合わせいただければ確認のうえ削除・訂正に対応します。

搬入道路について、署名文は「ルート未確定とされている搬入路の予算も加わる」と書きます。市公式(15752)は、令和6年9月に市の方針を決定して公表した、と書きます。いまは該当する区・自治会や地権者と協議しながら具体的な道路線形を計画し、令和11年度末の完成を目指す、と続きます。方針の公表と、線形の協議は別です。未確定、とだけ書くと、方針決定のページ(11580/15729)が落ちます。協議中、とだけ書くと、署名が気にしている追加費用の話が落ちます。8月30日に確認できるのは、方針は公表済み、線形は協議中、完成目標は令和11年度末、までです。

場所は安曇川町田中(泰山寺)地先、約4.3ヘクタール。建設予定地は、2回の候補地公募を経て令和4年12月26日に決まり、基本計画は令和6年2月、土地の取得は同年3月、と15732に書いてあります。焼却はストーカ式39トン/日(19.5トン/24時間×2炉)。リサイクルは破砕系7トン/日、資源系5トン/日、合わせて12トン/日です。規模の見直しでは、1炉あたりの稼働日数の設定を280日から290日へ延ばした、とも書いてあります。余熱利用設備や展望温浴施設、ロードヒーティングをとりやめる検討、管理棟と焼却施設棟の合棟、洗車棟と車庫棟を建屋内に収める、といった削減案も同じページに並びます。稼働の目標は令和11年度末。整備期間は令和8年12月から令和14年3月(焼却施設は令和12年2月まで)、運営は令和12年3月から令和32年3月まで、とあります。署名側の図が「温熱利用なし」と置くのは、この見直しと方向は重なるようです。市が署名に答えた、とは書いてありません。

表層の「反対署名」と、本質の「公開の問答が足りない」

表層は、ごみ処理場の署名、と検索されやすい流れです。本質は、周辺区の説明会とパブリックコメントは既にある、そのうえで全市向けの公開の場が無い(または足りない)と要望側が読んでいる点です。

市は、建設予定地決定(令和4年12月26日、安曇川町田中地先・泰山寺区)のあと、周辺区・自治会向け説明会と意見回答を公開しています(ページID 7955)。基本計画のパブリックコメントは令和5年12月25日〜令和6年1月24日、提出19名・51件(市の基本計画ページ)。搬入道路は、泰山寺区長と周辺7区・自治会長への説明会が令和5〜6年度に複数回、公式の経過表に並びます。無い、は正確ではありません。ある説明会の対象が、周辺区と議会と有識者委員会に厚い、というのが公式の並びに近いです。

署名が求めるのは、その厚みの外側——市民全体を対象にした公開の説明会です。周辺説明会に出た人と、今津やマキノ、新旭から出ていない人では、同じ事業でも情報の入り方が違います。湖西は長い市域です。安曇川町田中の現場まで日常的に行かない人にとって、造成写真の22.3%は、公式ページを開かない限り見えません。まあ、開かない人に届ける手段が、署名側から見るとメールや広報だけでは足りない、という読みにもなります。足りない、は要望の主張です。市の8月ページは、周辺との合意形成を図りながら進める、と書いています。図りながら、の中身に全市公開が含まれるかは、ページには出ていません。含まれている、とは書いてありません。

入札側の入口は、令和8年4月17日の公告(ページID 14680)です。参加表明の締切は6月26日、資格審査結果の通知は7月7日、入札書類の締切は8月7日、落札者の決定は10月予定——この並びは、takashima.city でも本年4月に一度書いています。今回の署名は、その締切のあとに「市民の場」を求める動きです。企業の質問回答第1回(5月22日公表)と、市民の問答は、同じPDFには載りません。載らない、というのが、要望が出てくる隙間に見えます。隙間に見える、は僕の側です。

デザインワークショップや環境講演会のページも、市の「新ごみ処理施設整備について」一覧(3789)に並びます。講演会とワークショップは、説明会の別名ではありません。別名にしない方が、日時を探すときに迷子が減ります。迷子になりやすいのは、一覧が長いからです。長い一覧のどこに「全市向け説明会」が無いか、を署名は突いている、と読めます。読めます、までです。

市公式の全体スケジュール案(PDF1ページ目)
新ごみ処理施設整備事業の全体スケジュール案(高島市公式PDF) [自治体の公式公開情報] 出典:高島市公式サイト(新ごみ処理施設整備に向けた取組について) ※著作権は原権利者に帰属します。出典表示は許諾に代わるものではありません。掲載に関するご指摘がございましたら、お問い合わせいただければ確認のうえ削除・訂正に対応します。

スケジュール案では、令和8年度に造成工事と事業者選定、令和9年度から焼却施設の建設、運営は令和12年3月から令和32年3月まで、と読めます。15732本文の事業期間と同じ骨格です。署名の「36年」という言い方は、この表のどこを始点・終点にしたのか、ページ上では計算式が出ていません。公式は「整備と、運営20年」と書いてあります。同じ長さには見えないようです。

人口の見方にも差があります。署名は、2050年に現在の約6割、と書きます。令和8年3月議会の一般質問要旨(市掲載PDF)には、現在約4万5千人、25年後に約3万人、という書き方があります。3万は4.5万の約67%です。6割と3分の2は近いようで、出典が違います。どちらも推計のようです。

いま読める場所

同じ2026年夏に、入札(書類の締切は8月7日、選定は10月予定)、造成(7月時点の進捗率22.3%)、全市向けの説明会を求める署名(8月27日開始)が重なっています。入札の質問回答は企業向けです。造成写真は現場の進捗です。署名は、市民向けの場の話です。企業向けのPDFに市民のQ&Aは載っていません。造成写真だけでは、予定価格の内訳も読めません。

安曇川の造成現場は、湖西線の今津からでも、日常のごみ出しからは距離があります。説明会の対象が周辺区に寄ると、今津やマキノ、新旭では「決まったあとに数字だけ来る」形になりやすい、と僕は思います。公式ページには、そうは書いてありません。

要望の全文は Change.org の当該ページ にあります。いまの予定価格と造成の写真は、市の 工事の進捗造成工事 に並んでいます。電話は環境センター建設課(0740-25-8104)です。とにかく僕が気になるのは、同じ「億円」でも表が三つある、という点でした。