庁内ネットワークの更新でRFIを実施、8月31日まで回答受付——「α’モデルへの移行」も検討対象に

高島市が、庁内ネットワーク基盤等整備業務委託に関する情報提供依頼(RFI)を2026年7月21日から始めました。回答提出の締め切りは8月31日(月曜日)午後5時です。
市の説明はこうです。「高島市では有線ネットワーク、無線ネットワーク及び仮想化基盤の更新を一体的に行うとともに、α’モデルへの移行についても検討しています。次期システムの構成や製品・サービスに関する情報を広く収集し、今後の調達方針の検討及び要件整理の参考とするため本情報提供依頼(RFI)を実施します」。
僕がこの1段落で引っかかったのは、「α’モデル」という語でした。自治体の情報システムを追っていないと、まず読めません。
RFIという段階を踏んでいることの意味
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 対象 | 有線ネットワーク、無線ネットワーク、仮想化基盤の一体的更新 |
| 検討事項 | α'(アルファダッシュ)モデルへの移行 |
| 公募・参加表明受付開始 | 令和8年7月21日(火曜日) |
| 質問表提出期限 | 令和8年8月7日(金曜日)午後5時 |
| 回答提出締切 | 令和8年8月31日(月曜日)午後5時 |
| 担当 | 高島市情報政策課(0740-25-8527) |
RFIは Request For Information の略で、提案依頼(RFP)の前段階です。何を買うかを決める前に、市場にどんな製品やサービスがあるかを事業者に教えてもらう手続きです。
市の文面が「今後の調達方針の検討及び要件整理の参考とするため」と書いています。つまり要件がまだ固まっていない。固めるための材料を集めています。
いや、これは自治体の調達としては丁寧な進め方です。要件を役所だけで書くと、現実に存在しない構成を求めてしまったり、逆に特定製品しか満たせない条件になってしまったりします。RFIを先に置けば、そのずれを減らせます。
参加表明書(様式1)はWordファイルで提供され、「本RFIに関するその他の資料は、参加表明書の提出が確認でき次第、個別にデータを送付いたします」とされています。つまり詳細資料は参加表明した事業者にだけ渡す形です。
まあ、庁内ネットワークの構成情報を誰でも見られる場所に置くわけにはいきません。セキュリティ上の理由でしょう。

表層は「調達手続の告知」、本質は「自治体ネットワークの三層分離を組み替える話」
α’モデルを説明しないと、このRFIの重さが伝わりません。
自治体の情報システムは、2015年の日本年金機構の情報流出を受けて、ネットワークを3つに分ける方式が全国的に導入されました。マイナンバー利用事務系、LGWAN接続系、インターネット接続系の三層分離です。インターネットに触れる部分を業務系から物理的に切り離すことで、外部からの侵入を防ぐという考え方です。
この方式は安全性は高いのですが、職員の作業効率が落ちます。インターネットで調べた内容を業務系に持ち込むには、無害化の処理を経る必要があり、手間がかかります。
そこで総務省が2020年以降に示したのが、βモデルとβ’モデル、そしてα’モデルという選択肢です。α’モデルは三層分離の枠組みを維持したまま、LGWAN接続系の業務端末を仮想化してインターネット接続系に置く構成を指します。職員が使う端末を1台にまとめられるため、二重管理の負担が減ります。
つまり高島市が検討しているのは、職員の作業環境を根本的に組み替えることです。有線と無線と仮想化基盤を「一体的に」更新すると書いているのは、この移行が個別の機器交換では済まないからです。
さすがに、これは1回のRFPで一気に決められる話ではありません。RFIを先に置いて、実現方法の選択肢を集める判断は妥当だと僕は思います。
意外と重要なのが、質問表の提出期限が8月7日で、回答提出が8月31日という日程です。事業者が質問できる期間が2週間強あります。要件が固まっていない段階なので、事業者側にも確認したいことが多いはずです。

情報政策課という部署が動いていること
問い合わせ先が高島市情報政策課(0740-25-8527)です。
僕がこの部署名に注目したのは、自治体のシステム調達をどこが担うかで、進め方が変わるからです。総務課や企画課の一部門が兼務している市もあります。情報政策課という独立した課があるということは、専任の職員が配置されている。
α’モデルへの移行判断は、技術的な検討と業務プロセスの見直しの両方を要します。ベンダーに丸投げすると、提案された構成の妥当性を判断できません。RFIを自前で回している以上、庁内に判断できる人がいるということでしょう。
高島市の人口は約2万5千人規模で、職員数もそれに応じた規模です。大都市と同じ体制は組めません。そのなかでRFIから始める手続きを取っているのは、慎重さの表れだと僕は読みました。
そもそも自治体のネットワーク更新は、5年から7年周期で回ってきます。今回の更新でα’モデルに移らなければ、次の機会は数年先になります。国が示した方向に乗るかどうかを、この更新のタイミングで判断することになる。

追いかけるべき点
僕が追いたいのは3つです。
ひとつめは、RFIの後にRFPが出るかどうかと、その時期です。8月31日に回答が集まり、そこから要件整理に入ります。年度内に調達を進めるなら、秋にはRFPが出る計算になります。
ふたつめは、α’モデルへの移行を実際に選ぶかです。RFIの文面は「移行についても検討しています」という書き方で、決めていません。集まった情報を見て、現行構成の維持を選ぶ可能性も残っています。
みっつめは、事業規模です。有線・無線・仮想化基盤を一体で更新する契約は、市の情報システム予算としては大きな部分を占めます。契約額が公表される段階で、判断の妥当性を検証できます。
実施要領は市の公式ページからPDFで公開されています。問合せは高島市情報政策課(0740-25-8527)です。
参照した主な情報
– 高島市「【情報提供依頼】高島市庁内ネットワーク基盤等整備業務委託にかかる情報提供依頼」(ページID 15560)
